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穂乃果「センチメンタルな足取りで」

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更新日2017-03-28 02:19:00

まとめ人:GLDNさん   (0)

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2 ◆nv1kPr3aqINd :2014/07/27(日) 14:27:06.79 ID:+s3G3J20O

穂乃果「はい! えっとこれはどこ……ってうわぁっ!!」



師匠「高坂! なにしてんだ、お前は!!」


穂乃果「す、すいません! えっと、えっと」


師匠「早く拾ってそこおいとけ!!!」


穂乃果「は、はいっ!!」



師匠「いい加減こんな簡単なことでつまづいてるんじゃねえ。お前もう五年目だろ」



穂乃果「はい……」



師匠「いくら高坂さんとこの娘さんとはいえ、俺だってそんなに寛容な人間じゃねえんだ」



師匠「この仕事、向いてないんじゃないのか」




穂乃果「っ……」









3 ◆nv1kPr3aqINd :2014/07/27(日) 14:28:38.09 ID:+s3G3J20O
◇◇


穂乃果「はぁ……」


穂乃果「またやっちゃった」


穂乃果「……」


穂乃果「向いてない、のかな」



 アパートの階段をゆっくりと登る。一歩一歩踏みしめると老朽化からかギシギシと音を建てる。





穂乃果「はぁ」


 アパートの扉を開ける。もうただいまも言うことは無く成った。


穂乃果(一人暮らしだもんね……)


 家に帰っても一人っていうのは想像していた異常に寂しい。



穂乃果「疲れた」


穂乃果「お風呂の掃除も面倒だし……シャワーでいいや」


穂乃果「最後にお風呂入ったのは、いつだったっけ……まあ、いっか」


 私は服を乱雑に脱いでカゴの中に入れる。

 もうカゴの中もいっぱいだ。


穂乃果「洗濯は週末でいいや……」


 カゴの中の洗濯待ちの衣服から目を背け、私は浴室に入る。






4 ◆nv1kPr3aqINd :2014/07/27(日) 14:31:07.87 ID:+s3G3J20O
 キュッとシャワーの栓を開けると弱々しい水圧の水が流れ出てきた。



穂乃果「つめた……」


 冷たい。シャワーが水からお湯になるまでの間、前までならぼーっと待っていた。


 でもなんでだろう、最近は頭から水を被ることが多かった。


穂乃果「……」


 頭が冷たく、身体が冷たく。

穂乃果「ぅぅ……ぅぅぁあああ」




 頭から被れば、きっと涙が流れても大丈夫。

穂乃果「……戻りたい」



 思い浮かぶのは高校時代のこと。
 スクールアイドルとして活躍していた、私が一番輝いていた時期。

 徐々に水がお湯へと変わってくる。



穂乃果「……あったかく、ないよ……」

 心が、冷え切っていた。

 なにをしても失敗ばかり。もう子供じゃいられない。笑ってばかりじゃ生きていけないんだ。


 一通り浴室ですることをして、居間に戻る。



 8畳一間のこの部屋が今の私にとっては全て。安心出来る場所。泣ける場所。笑える場所。






5 ◆nv1kPr3aqINd :2014/07/27(日) 14:33:41.04 ID:+s3G3J20O

 小さな冷蔵庫を開けて、中から酎ハイの缶を二つ取り出す。

 人工甘味料とかその他諸々身体に良くないものがたくさん入ったお酒。すぐに酔えるように9%くらいの強めのお酒を選んでいる。



穂乃果「んぐ……んぐ……」


穂乃果「ひっぐ……ぅぅ」

 お酒を飲むと、自分を抑えられなくなる。感情が。


 自然と涙が出てくる日もある。


 ぁあ明日も仕事だ。


 早く飲んで早く寝なきゃ。



穂乃果「みんな……」


 二本のお酒を飲み干した私は、倒れるようにベッドにダイブする。



 枕も洗濯しなきゃ。泣きすぎて、もうダメになりそうだもん。




穂乃果「会いたいよ……」







6 ◆nv1kPr3aqINd :2014/07/27(日) 14:35:26.93 ID:+s3G3J20O
◇◇


穂乃果「もぐもぐ」


 朝は適当に買ってきたパンをジュースと共に口に流し込む。五分で終わる。


 昔からのくせでたった五分でもテレビをつけてしまう。普段はすぐに朝食も終わるので、テレビもすぐ消すのだが、今回は少し状況が違った。




穂乃果「あ……」





穂乃果「――にこちゃん」






 朝の情報番組。それは比較的賑やかな番組で教育番組なんかとは違う。バラエティの紹介だったり、今話題のことについて特集が組まれる。



 ちょうど新しいドラマが始まる周期ということで、今はドラマの特集だ。



 何人か主要な出演者がインタビューを受けている。


穂乃果「……夢、叶えたんだね」




 そこには髪の毛を降ろして清楚なイメージの矢澤にこの姿があった。






7 ◆nv1kPr3aqINd :2014/07/27(日) 14:36:52.90 ID:+s3G3J20O
 最初はどこかのアイドルグループに所属して、何年か経って卒業。そこから何故か演技力がとても評価されて、ドラマでちょくちょく見るようにはなっていた。




 ぶりっこのあの、にっこにっこにーと言っていた矢澤にこはもういない。



にこ「あ、はい。えっと今回は初めて主要な役をやらせていただけて本当に光栄です」



にこ「主演の桜井さんに迷惑をかけないよう精一杯最後まで頑張ろうと思います」


 桜井という人気俳優が真面目すぎるにこちゃんに対して、ゆるやかなフォローを入れる。


 それに対してにこちゃんも先ほどとは違い少し柔らかく反応していた。




穂乃果「……なんだか別人みたい」


 きっと今のにこちゃんは幸せなんだろう。現にアイドル時代はにっこにっこにーもやっていた。



 時々バラエティに出るとそのネタで弄られたり、とかもある。


 
 穂乃果「あっ、早く準備しなくちゃ!!!」


 見るともう少しで時間が来てしまう。髪の毛もボサボサ化粧もしていない。



 私はにこちゃんのインタビューを最後まで見ることなく洗面台へ向かった。






8 ◆nv1kPr3aqINd :2014/07/27(日) 15:49:23.42 ID:bRD/Qvo40
◇◇


 今日は無難に仕事をこなして怒られることも無かった。



 お昼休みだけど、比較的長い時間貰えたから、私は公園のベンチでお昼を取ることにした。……パンだけど。



穂乃果「もぐもぐ……うーん、あったかくなってきたなー」



穂乃果「むしろ熱い……?」


 ゴールデンウィークもつい先日終わって、世間は五月病とかなんとか言われている。

 パンを食べ終わって、お店から持ってきて和菓子の袋を取り出す。



 これは店長……まあ私の師匠が作ったもの。


 ただの水まんじゅうなんだけど、私が作ったものとは大違い。なんで、こんなに違うんだろう。



 お父さんにも全然負けていない。




 二つあるうちのひとつを食べ切ったところで、なにやら公園の隅から声が聞こえてきた。






9 ◆nv1kPr3aqINd :2014/07/27(日) 16:06:25.34 ID:bRD/Qvo40
「うっさいわね、もうついて来ないで」



「はあ? 早く離れてって言ってるのよ!」


「言わなきゃわからない? フッたの、あんたを。今、ここで」


「ちっ……うるさいって言ってるじゃない。仮にも医学生でしょ? ここには他の人もいる公共の施設。いちいち喚かないで」


「そんなんじゃ私以外にもどんどん逃げられるわよ。じゃあね」


 なにやら、恋人同士の言い争いみたいだ。女の子の方がフったらしい。


 贅沢な話。私なんてまだ恋愛したこと、ないのに……。


 あれ、でもなんだか聞いたことのある声。

 私が恋人が争っていたところを見る。



穂乃果「え……」





 少し離れたところにいたのは見知った顔。



 サングラスを胸元に掛けた、少しのつり目に恐ろしいほど整った顔とプロポーションの女性。遠目から見るとまさにモデルのようだ。






10 ◆nv1kPr3aqINd :2014/07/27(日) 16:10:30.86 ID:bRD/Qvo40




 ――真姫ちゃんだった。




 こちらに歩いて来ていた真姫ちゃんと目が会う。何年、ぶりだろう。癖毛で巻き髪だった髪の毛は、さらに伸ばしてストレートになっている。



真姫「……穂乃果……?」


真姫「穂乃果!!!」

穂乃果「真姫ちゃん!!!」



 私は久しぶりに会う当時の仲間に心が踊って、すぐに立ち上がった。



穂乃果「真姫ちゃーん!!!」ギュー

真姫「ちょ、いきなりなによー!」

穂乃果「えへへ、真姫ちゃん。真姫ちゃんだー!」



真姫「もー、久しぶりなのに台無しよー」

穂乃果「久しぶりだからだよー!!」



 久しぶりに笑った気がした。もっともっと可愛く美しくなった真姫ちゃんは見ているだけで幸せになった。


 真姫ちゃんがみんなに目立つから、とか言って私をベンチに誘導する。


真姫「本当に久しぶりね」



穂乃果「そうだね。元気にしてた?」


真姫「うーん、どうかしら」






11 ◆nv1kPr3aqINd :2014/07/27(日) 16:18:55.19 ID:bRD/Qvo40
 真姫ちゃんが足を組んで、頬杖をつきながら微笑む。少し小悪魔的でなんだか妖艶な雰囲気にどきりとする。



穂乃果「やっぱり医大って大変なの?」


真姫「大変よー」


真姫「ストレス発散しないとやってけないわよ」

 ストレス発散……。私は先ほどの真姫ちゃんと男の会話を思い出す。



穂乃果「……さっきのは彼氏?」


真姫「彼氏だった人」

穂乃果「そ、そうだったんだ」


真姫「なんかつまんなかったから四日でフっちゃった。まあ次の人探せばいいかなー。きっとすぐ誰か告白してくるでしょうし。」



穂乃果「す、すごいね……」

真姫「そう?」


穂乃果「いままで何人くらいと付き合ったの?」



 真姫ちゃんが指を折りながら数え始める。10を超えて20にさしかかったあたりで数えるのを辞めた。



真姫「んー覚えてないわ」


穂乃果「嘘でしょ……」



真姫「穂乃果は?」


穂乃果「え?」






12 ◆nv1kPr3aqINd :2014/07/27(日) 16:36:55.09 ID:bRD/Qvo40
真姫「彼氏とかいないの?」



穂乃果「うーん、そういうのはあんまり……」



真姫「そうなの? 私が男だったら穂乃果のことなんて放って置かないけど……。世の中の男って馬鹿ねー」



穂乃果「いや……私は真姫ちゃんみたいにモテないし……」


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